昆布 Kelp
日本料理に欠かせない出汁(だし)が取れる海藻。 出汁を取り終わった昆布は佃煮にして食べられます。
概要
昆布は葉状部を主に食す、コンブ目コンブ科の海藻。別名、「海帯」「クロメ」とも呼ばれます。旨味成分であるグルタミン酸が多く含まれ、乾燥することにより細胞が壊れて旨味が抽出されやすくなります。
出汁用に用いる昆布としては、旨味が特に強く、幅が広くて肉厚な「真昆布」「利尻昆布」「羅臼昆布」が有名で、煮物用に用いる昆布としては、「日高昆布」や「長昆布」など柔らかいものが用いられます。
昆布のグルタミン酸の旨味に、肉や魚類のイノシン酸や、きのこ類のグアニル酸などを合わせることで、より深い旨味を出すことが可能です。
昆布の持ち味
- 水出しした昆布出汁は、澄んでいて上品な味わいになる。
- 一方、火をかけて取る昆布出汁は、短時間でしっかりと旨味を引き出すことができる。
- 鯛などの刺身を昆布で包んで一晩寝かせた昆布締めは、刺身に旨味が移り大変美味。
- 味噌に乾燥昆布を敷き詰めて取り出せば、味噌に旨味が足されつつ、昆布には味噌の味が染み込み、そのまま汁物の調理に使える。
- 出汁を取り終えた昆布は、みりんや酒、醤油で味付けをして佃煮としてご飯のお供に。
薬膳・中医学
体の水分代謝機能を増強し、消化のプロセスで生まれた水分が滞って生じた痰湿(たん)を除去する働きがあります。食薬として化痰類に分類されます。(※肝経,胃経,腎経の経絡に強く作用)
消痰軟堅
リンパ線腫や甲状腺腫など、痰と熱が結合してできたとされるできものを軟らかくして取り除く。詳細
行水消腫
水の滞りにより生じた、むくみや腫れものを消す。詳細
禁忌
一度に過剰に摂取することは避けた方が良い。(おでんの昆布を数枚食する程度なら問題ない)
下処理
- かたく絞った布巾などで軽く拭いて汚れを取る。(くれぐれも水洗いしないこと。出汁が溶け出してしまう)
おいしい保存法
昆布は湿気やにおいを吸収しやすく、カビや品質劣化の原因となるので、湿り気の少ない冷暗所に密閉して保存します。囲い昆布といって、環境の整った蔵で2〜3年寝かせた昆布は、旨味や滋味が増し、高級品とされています。
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